1、子どもに何が起こったのか?わからないから悩む
なぜ、この子は変わってしまったの?
不登校問題は、とても他人事ではありませんでした。
子どもが高校生になると、子どもが急に動かなくなってしまうケースが増えています。子どもはエネルギーが枯渇したようにバタンと動かなくなってしまうようです。
ただ、学校に行かないだけでなく、まるで人格まで変わってしまったような変貌ぶりですから、親は気が気ではありませんよね。
当然、親子関係にも変化が起こります。
今、無気力になり、学校へも行けなくなる子どもは増え続けています。
幸い息子たちは3人共に、「学校を休む選択肢」はなかったようなのですが、それでもかなり身近な問題でしたよ。
特に、息子の小学校時代の友人が「高校を留年して退学した」と聞いた時は心が痛みました。なぜなら彼は、小学生時代は「ムチャクチャいい子でマジメで勉強好き」だったからです。
息子にとってはとても誇らしい友達だった彼。その彼が、中学3年生頃から徐々に何事にもやる気がなくなっていたそうです。でも、それまでの「学力の貯金」があったため地域内の進学校に入学しました。ですが、圧倒的な勉強量についていく気が起きず、ある時「学校に行きたくない」 と親に言ってみたそうです。
親の「ひとこと」に振り回される子どもたち
さて、これを聞いてどう思いますか?あなただったら、どうするでしょう。
高校生の子どもを持つ親なら、一度ぐらいは「学校に行きたくない」と言われるか不安になったり考えたりしたことがあるかもしれません。とても他人事とは思えませんよね。
「学校へ行かなければいけない!」
彼の立場を考えるとき、今までひたすら辛い時も弱音を吐かずに真面目に頑張っていたんだろうなと思うと、胸がグッと苦しくなります。
「学校へ行かなくてもいい」
と親が言い出した時、彼はどんな心境だったのでしょうか。
彼はそれまで「親の意向」に沿って生きてきました。なので彼の立場になると、きっと、今までの世界がひっくり返るような「衝撃」だったと思います。彼の中でどれほどの葛藤があったのでしょうか。
親のコトバがどう響くかは親子の信頼関係によって変わる
本人は、親の対応に「若干驚いていた」そうですから、こころの迷いがあったと思います。
でも、親の意向に従っている時点で、自分の判断力が育っていないといえるかもしれませんし、頑張るのは「限界」だったかもしれません。そして、今の不登校対策としては「学校には無理に行かなくてもいい」が主流になっていますよね。
学校に通う意味そのものが変わってきているのかもしれません。
ですが、別の受講生さんの子ども(中学2年)ですが、こんな例もあります。
子どもが、ある日突然、学校に行かなくなりました。
お母さんは、驚き、会社を休み、子どもの心を傷つけないようにと自分の言動に細心の注意を払いました。この方にとって仕事を休むことは、周りの方にも迷惑が掛かり、第一この方のキャリアにも影響がある可能性がありました。ですが、今、そんなことを言っている場合ではありません!
それまでの仕事中心の生活を見直し、子どもの心のケアをしようと、毎日、気を配っていたそうです。ですが事態は一向に改善しませんでした。
が、ある日、 所属する部活の顧問の先生が家庭訪問にきて、、、
「何やってるんだ!」
と、一蹴!あっ気なく、登校再開(@_@)、、、、、
何が起こったんやろ?
お母さんビックリです。
これを聞いて「じゃあ、このケースも、同じようにしたらよかったんじゃないの?」と思うかもしれませんが、でも、それは、その通りではありませんよね。
同じ子どもはいませんし、状況は人それぞれ違います。
同様な対応をしても、仮に、この時は登校を再開して何とか収まっても、本質的な問題が解決していない限り、また、時を変えて、別の問題が起こってきたり、もっと大きな問題になる可能性もあります。
そう考えると、今、休んでくれた方がいいかもしれない。
子育ては、何がベストな選択かなんて、本当にわからないわけです。
一人ひとりが子どもを前にして「あり方」を考えていくとき
「じゃあ、どうすればいいの?」「手立てはないの?」
これが知りたいですよね。ですが、この「本当にどうすればいいのか」というこそ、一人一人が子どもや自分と向き合って一生懸命考えることであり、それまでの関わり方を見直す時なのだと思います。
親の対応が子どもにどう響くかは、今の親子関係の関係性の質によって大きく変わってきます。
子どもは「親が自分をどう扱っているか?」「自分を支配しようとしていないか?」という、親や大人の対応に敏感に反応しながら、自分の処し方をうかがっています。
「いい子」を装っていたのだとしたら、その方がメリットがあるからでしょう。
「いい子」でいられなくなったのだとしたら、自分が壊れてしまいそう、偽るのが嫌になったとか、苦しくなるとか、デメリットの方が強くなったからだと思います。
いずれにしても、子どもが学校に行きたいのに行けなくなるのは、子どもからS.O.Sが出ていることは事実ですよね。
2、問題を起きる前に予防する「聞き方」の技能
異変に気づいたらすぐに「心のケア」をしておく
ですが、やっぱり避けられるのなら、避けた方がいいのではないかと思うのも事実。「避ける」というより「小さな問題のうちに本質的な問題を解決しておく」と言ったほうがいいかもしれません。
つまり、高校生の学校が留年とか退学などの大きな問題になる前に、 日頃から子どものS.O.S.にアンテナを立てて「彼らのありのままの姿」を受け入れる親になるよう、あり方や言い方を見直しておきたいのです。
子育ての「今」とは、親の日常会話の積み重ねの結果だからです。
親子は毎日「何らかのやり取り」すなわち「コミュニケーション」をしています。なので、その時点で「わだかまり」「異変」「サイン」「シグナル」に気づいたら、「心のケア」応をすることができます。小さな問題だと早期に解決が可能です。
わだかまりなのか、戸惑い不安なのか、ただ、言いたいだけのことなのか、ちゃんと言うべきことなのか・・・
私も、色んな事が、ごっちゃになることが未だにあります。それは、きっと頭の中で言いたいことが曖昧なままで、整理されていないからです。
今は情報化社会で、あらゆる情報が常に入ってきますよね。傷つきやすい純粋な子ども達は、色んな事を別の角度から色々言われて、頭の中がゴチャゴチャになりがちかもしれません。
繊細な気質を持ち合わせていると、人の気持ちを裏読みしすぎて、無限ループに入ります。頭の中がパンクしてしまうと、身動きが取れなくなり、もう、堂々巡りで一人で考えられなくなりますよね。
子どもの行動にはすべて理由があるから
人は、道に迷ったら、ほとんどの人は立ち止まりますよね。
自分の目的地に向かうために、どう進んでいけばいいのかわからなくなる時、人はいったん止まります。
「この道をゆくと必ず幸せになるよ」と信じていた道が「あれ、この先に本当に幸せがあるの?」と信じられなくなる時に、立ち止まるのは無理のない事だと思います。それは、自分の人生をどう進んだらいいか、曖昧にしないで、自分で自覚して進んでいきたいからだと思います。
いま、色んな価値観が混在して、生き方も多様化しています。
私たちの子どもの時代は、学校に行くことはあたりまえの事でした。なので、疑いもしないで学校に行っていました。
でも、今は学校に行かない子どもが教室に必ずいます。そんな時、ふと疑問を持ってしまう子どもは多いでしょう。でも、学校に行く意味も、勉強する意味も、子どもが心から納得するように教えてくれる大人がどれだけいるでしょうか。
子どもも大人も自分の人生をどう生きていくかについて、今まで以上に考える機会を持たざるを得なくなっているのかもしれません。でも、これは本来はすべての人が主体で生きていくためには必須なことだったのかもしれません。
だからこそ、日常的に家で親が安心して何でも吐き出して言える環境が整っていると、子どもは自分で整理しながら、自分でどうするかを考えて、問題解決力を育てていきます。
些細なやりとりの中でこそ、ちょっとした「言い方」に気を付けると、その後の関係性や心の成長、責任感が変わってきます。
こんなことをチェックしてみてもいいんじゃないでしょうか?
親業では、親がやりがちな「おきまりの12の型」という、今の言い方を見直すための「チェックツール」があります。
おきまりの12の型
1.命令・指示 「イヤでも行きなさいね」
2.注意・脅迫 「みんなと遊べなくなっちゃってもいいの?」
3.説教・訓戒 「人生にはね、やりたくなくてもやらなきゃいけないことがあるものよ」
4.解決の提案 「今日はもう早く寝て、明日先生に相談してみたら?」
5.講義 「学校に行きたくないっていうことは、勉強のやり方が間違っている場合が多いんだよね」
6.非難 「何言ってんの?甘えてるんじゃない?」
7.同意・賞賛 「じゃあ学校なんて行かなくていいんじゃない」
8.侮辱・悪口 「弱虫ね。見損なったわ」
9.解釈・分析 「テストの成績が悪かったからそんなこと言ってるんでしょ」
10.同情・なぐさめ 「まあ、かわいそうに」
11.質問・詰問 「なぜそんな事思ったの?いつから?いじめられてんの?」
12.ごまかし・注意をそらす 「まあまあ、お茶でも飲もうよ」
言い方を変えるのが、彼らの心を溶かすには、いちばん即効性があると感じます。