子どもを感情的に怒ってはいけないと言うけれど、、、
「感情的に怒ってはいけない」
子育て本やSNSで、そんな言葉を何度も目にしました。
両親に怒られて育ったせいか、私は「怒られる痛み」を人一倍知っているつもりでした。だからこそ、自分の子どもには絶対に同じ思いをさせたくない。「感情的に怒る親にはならない」と、心に固く誓っていました。
息子たちがどんな行動をしても、落ち着いて話しながら「しつける」。理想はそんな育て方でした。
でも、現実は甘くありませんでした。
私は三人の男の子の母です。家の中は毎日てんやわんや。ケンカ、騒音、食べこぼし、忘れ物…。精一杯頑張っても思い通りにならない現実に、ギリギリまで我慢した挙句、ついに爆発!
「いい加減にして!!」
怒鳴った瞬間、後悔が襲ってきます。子どもがシュンとした顔を見ると、胸が締め付けられました。
「ああ、またやってしまった…」
「子ども、傷ついたやろな…」
母親の罪悪感、劣等感が子育てに与える影響
私は三人の息子を育てながら、自分自身を観察し、親子関係を「実験」してきました。そして今では、親子関係改善のためのコミュニケーション訓練を多くのお母さんに伝えています。
たくさんの親子を見てきて、確信していることがあります。
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母親の「罪悪感」は、子育ての邪魔をする
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罪悪感や劣等感は、表向きは「反省」や「優しさ」に見えます。でも心の深いところでは「こんな母親でごめん」「子どもがかわいそう」と自分を責め、子どもとまっすぐ向き合う力を奪ってしまいます。
罪悪感が強いと、次のような悪循環が起こります:
親は努力しているつもり。
でも、子どもからすれば「気分次第で機嫌が変わる面倒くさい親」になってしまうのです。
罪悪感が強い人の特徴チェックリスト
「もしかして私も?」と気になる方は、次の項目をチェックしてみてください。
✅ つい「私が悪かったかも」と先に思ってしまう
✅ 誰かに迷惑をかけるのが異常に怖い
✅ 子どもが困っていると、自分のせいだと感じる
✅ NOと言えず、あとで疲れ切る
✅ 人から褒められても「そんなことないです」と否定してしまう
✅ ちょっと注意されただけで落ち込みが止まらない
✅ 「いい母・いい妻」でいなければと思い続けている
3つ以上当てはまったら、罪悪感が強い傾向あり。
放っておくと「子どもに強く言いすぎる → 自分を責める → 関係がぎくしゃくする」という負のループにハマりやすいかもしれません。
子どもは親の心の奥を敏感に感じ取る
「普段は優しいけど、時々すごく怒るお母さん」
これが一番、子どもを混乱させます。
許される時と許されない時の線引きがわからないと、子どもは常に親の顔色をうかがいながら過ごします。
「怒られるかもしれない」と思うと、素直に行動するのではなく、バレないように隠そうとしたり、先回りして媚びたりするようになります。
私自身、幼い頃そうでした。
親に本音を言うのが怖くて、無表情を装っていました。すると親は「大丈夫かな」と心配する。ますます私は言えなくなる…。
子どもにこんな思いをさせたくないと強く思いました。
親にも欲求や感情があることを認める
罪悪感や劣等感は、どんな親も持っているかもしれません。
ですが、この罪悪感や劣等感を持ちすぎる事が、子どもにとっての悪影響がある事も事実。特に頑張り屋さんの母親は要注意です。
手放す第一歩は、「親も人間でいい」と自分に許可を出すことです。
これ、当たり前のことですよね。でも、完璧な母親を目指していると、この当たり前を忘れてしまいます。
私は偶然、「親業訓練」で、自分のマイナス感情にOKを出す方法を学びました。
怒る自分、イライラする自分にOKを出してから、子育てが大きく変わりました。
子どもに欲求があるように、親の欲求も大切にしていい
罪悪感が強い人ほど、自分の欲求を後回しにします。 「子どものためなら我慢しなくちゃ」と思い込んでいるからです。
でも、親の欲求は押し殺すものではありません。
子どもに、やりたいことがあるように、親にも、やりたいことがあって当然。
こんな当たり前の事なのに、実際にそこにOKを出せるようになるには、私には訓練が必要でした。
自分のマイナスの感情にOKを出せて、子どもを怒る自分にOKを出せてから、私の子育てが舵を切るように、大きく変わっていったのを覚えています。
「怒り」を安全に伝える練習
特に、自分の中に燻っていた怒りのような強い感情を、最愛の息子たちにさらす勇気を持つのは、すごく苦しかったです。
でも、別々の人間が、一緒に楽しく暮らしてく為には、他人の感情や欲求についても配慮が必要だということを、伝える機会となりました。
「怒る」ことが悪いのではありません。
問題は、怒り方だったのです。
ゴードン博士が提唱した「わたしメッセージ」は、怒りを爆発させずに、冷静に「困っている自分の気持ち」を伝える方法です。
例:
×「なんでこんなことするの!」
○「床が汚れると後片付けが大変で、私はとても困るよ」
同じ内容でも、子どもが受け取る印象は全く違います。
私も最初は下手でした。長々と説教したり、つい子どもを非難してしまったり…。でも練習を重ねるうちに、子どもが私の気持ちを理解して行動を変えてくれるようになりました。
「きっと子どもは傷ついたに違いない」という思い込みを手放す
罪悪感の正体は、
「こんなことを言ったら子どもは深く傷つくはず」
という思い込みかもしれません。
私は、子どもの求める理想の母親になりたくて、それが出来ない自分に罪の意識を感じていました。子どもが私にガッカリしてしまうのではないかと、それを恐れていたのです。
でも、子どもは親が思うよりもずっと強い存在でした。
実は、私自身が両親に叱られるたびに、親が私に幻滅し、とてもがっかりして失望しているように感じて、その顔を見るのがツラかったです。大切な人の、その人にとっての理想でないことの「罪の意識」が触発されていたんですね。
そんな心の奥の痛みを感じながら、自分の感情を解き放つと、私が持っていた「思い込み」が解けていきました。
「子どもを信じる」こと。
これは、罪悪感を手放す大きな力になります。
誰が悪い?ジャッジする白黒思考から抜け出そう
最悪感を抱えて苦しかった時、私の中には、正しいか正しくないかの、白黒思考がありました。
「怒る私はダメ母」「冷静に話せる私は良い母」
そんな二元論で自分を裁いてしまっていて、ますます苦しくなっていました。
でも、「あれかこれか?」「どっちが正しいか?」「どっちが勝つか?」の思考はつまり「悪者探し」となり、自分の首をしめるだけです。
ここ、手放していきましょう!
人は完璧でなないし、完璧になろうとすることが、かえって自己否定や窮屈さを生み出すことになっていませんか?
今日うまくできなくても、明日少し良くなればOKだと、今を肯定する姿勢や、その小さな積み重ねが、やがて大きな信頼関係をつくります。
希望は必ず持てる
罪悪感を感じる人に、「罪悪感を感じるのはやめろ!」と言っても、ムリですよね(笑)
だって、感情とは内面から自然と湧き上がってくるものだから。
なので、そんな自分もまるっと受容しながら、コトバを矯正し整えることで「親子の分離」をうながしていく知恵が、親業にあります。
まずは、大切なのは、子どもをいやだと思う自分の気持ちに正直になること。
怒りの感情にフタをせず、気持ちを率直に伝えあうと、温かい関係が作り直す奇跡が起こります。親業にはコミュニケーションの知恵があります。
私も、三人の息子に、何度も感情的に怒りましたよ(笑)
でも今、彼らは自分の意見を持ち、私と対等に話せる大人になっています。
親業訓練で学んだこと、実践してきたことは、決して無駄ではありませんでした。
だから、今、悩んでいるお母さんへ。
まとめ
風通しのよい親子関係は、練習と経験の先にあります。
まずは、今日一つだけでも「伝え方」を変えてみてください。
その一歩が、あなたの未来と子どもの未来を明るくします。
「先生、なんか集中できません」
「つまらない」
「疲れた」
教室で日常的に耳にするこんな言葉。
あるいは、言葉に出さなくても、机に突っ伏したり、落書きばかりしたり、隣とおしゃべりに夢中になったり…。
教師であれば誰しも、「どうすればいいのだろう」と悩む場面ですよね。
多くの先生はこう考えます。
「もっと工夫して授業を面白くしなければ」
「注意して集中させなければ」
「このままでは学力が落ちてしまう」
もちろん、授業改善は大切です。しかし、それだけでは解決しないのが現実。なぜなら、生徒が集中できない理由は“授業そのもの”にあるとは限らないからです。
生徒が集中できない「背景」
集中力が途切れる原因には、いくつかのパターンがあります。
教師がいくら声を張り上げても、こうした内的要因には届きません。だからこそ、ただ「集中しなさい」と指導するだけでは逆効果になりやすいのです。
「行動」ではなく「心のサイン」に目を向ける
集中できない行動の裏には、必ず理由があります。
その理由を理解しようとする姿勢こそ、生徒との信頼を育てる第一歩です。
例えば、落書きをしている生徒。
「やめなさい!」と注意するのは簡単ですが、心の中では「授業についていけない」「当てられるのが怖い」などの不安が隠れているかもしれません。
ここで教師ができることは、「何かあるな」と、生徒の心のサインをキャッチすること。
その上で、叱るのではなく、「あなたに関心がある」というメッセージが届くと、子どもは次第に心を開いていきます。
信頼関係が集中力を生む
生徒は、安心できる関係の中でこそ集中力を発揮します。
「この先生は自分の気持ちをわかろうとしてくれる」
その感覚があると、生徒は行動を変えていく勇気を持ち始めます。
教師ができるのは、教え込むことだけではありません。
「理解しようとする姿勢」、つまり、生徒を一人の人として尊重しようとする姿勢そのものが、教室全体の空気を変えていきます。
教師自身も“訓練”で身につけられる
とはいえ、現場でこれを実践するのは容易ではありません。
忙しい日常の中で、一人ひとりの背景に耳を傾ける余裕なんてない――そう感じる先生も多いでしょう。
実は、こうした対応スキルは「センス」や「人柄」だけで解決するものではありません。
具体的な方法を学び、練習することで、誰でも習得できる“技術”です。
教師が「聞く力」や「伝える力」を磨けば、注意や指導がスムーズになり、生徒が自ら集中しようとする雰囲気をつくることが可能になります。
教師学という学びの入り口へ
「どうしたら授業に集中させられるか?」という悩みは、突き詰めると「どうやって生徒との信頼関係を築くか」という問いに行き着きます。
その答えを、体系的に学べるのが教師学です。
教師学は、ゴードン博士が開発した「親業訓練」をベースにした、教育現場のためのコミュニケーション・トレーニング。
単なる「声かけの工夫」ではなく、生徒との関係を根本から変える実践的な技術を学べます。
集中できない生徒を「困った存在」として捉えるのではなく、「成長のサイン」として受け止められるようになる。
その視点を持つことで、教師自身の指導もずっと楽になっていきます。
授業中に集中できない生徒に出会ったとき――
「どうして集中できないの?」と叱る代わりに、「君の中で何が起きているの?」と心をのぞく視点を持てたら、
教室はきっと、もっと生徒にとっても、教師にとっても居心地のいい場所に変わっていきます。
教師の仕事は、この数十年で大きく様変わりしました。
膨大な事務作業や部活動指導がニュースに取り上げられる一方で、実際に先生を最も疲弊させるのは 「人間関係」 ではないでしょうか。
生徒とのやりとり、保護者との関係。
努力が伝わらず、信頼が築けないとき、教師は深いストレスや虚無感に襲われます。
逆に、もし良好な関係性があれば——。
多少の忙しさもやる気やアイデアに変わり、仲間と共に困難を乗り越えた経験は、後から「人生の宝物」として記憶に残るはずです。
では、どうすればその「関係性」をつくれるのか?
ここで登場するのが 「教師学」 です。
教師学との出会い ― 教師の声から
私のもとに、ある高校の先生からご相談がありました。
荒れる生徒たちに精一杯向き合い、家庭訪問まで重ねても成果が見えず、教師を続ける自信を失っていた方です。
「もう辞めようかと思った」
その先生は、そんな限界の中で「親業」や「教師学」の存在を知りました。
最初に親業訓練を受講され、そこで触れた「心理学に基づく原理」と「具体的な伝え方」に衝撃を受けたといいます。
そして教師学に進むことで、生徒との関係に驚くような変化が生まれました。
教師も人間 ― そのジレンマにどう向き合うか
教師には「生徒を導きたい」という思いと、「すべてを受け入れるのは難しい」という人間としての気持ちが同居しています。
この葛藤は誰もが抱くものです。
だからこそ大切なのは、完璧さを目指すのではなく、誠実に対話し、問題を共に解決できる関係を築くこと。
教師学はそのための 「対話力」 に焦点を当てています。
具体的にどう変わるのか?
ある先生が学んだのは「能動的な聞き方」。
ただ耳を傾けるのではなく、生徒の気持ちを理解しようと働きかける聞き方です。
実践すると、生徒が落ち着き、自分から悩みを話し始め、授業への姿勢も変わっていきました。
先生自身も「聞けていなかったこと」に気づき、関係づくりの転機となったのです。
こうして生まれる好循環は、短期間であっても大きな手応えをもたらします。
教師学がもたらすもの
教師学で得られるのは、単なるテクニックではありません。
それは 「生徒を育てる関係性の軸」 です。
生徒の成長を支えるだけでなく、教師自身の人間的成長にもつながります。
そして離職率が問題となる今、「具体的にどう関係を改善すればいいのか」という問いに答える確かなヒントがここにあります。
教師が自分らしく自信を持って生徒に向き合えること。
それは、教師にとっても生徒にとっても、かけがえのない財産になるはずです。