子どもが中学生になると、親としての「悩み」が今までとはガラリと変わってきます。
心と身体が大きく育つ微妙な時期だからこそ、親としてのあり方や立ち位置も注意したいところ。もう、小学生ではないのだから親の過干渉はダメだと思うし、勉強や部活、友達づき合いも、親に頼りっぱなしにならないように注意深く見守りたい。
もう、母親の出番はないのかな???
いえいえ、まったくそんなことはありません。むしろ、逆!
おかん力、、、スゴイんですよ~
1、子どものやる気が落ちる時こそ発揮される親の見守り力
親の言い方を変えたら子どもが自分で考え出す
ある受講生のSさんの事例です。
Sさんの息子さんは中学に入ってからずっと学習意欲が低く、集中して勉強できていないようでした。そのことがSさんはとても気になっていました。ただ、部活には意欲的で「中3の夏の大会までは部活を頑張り、それから塾には行って勉強する」と言っていたので、不安ながらも見守っていたそうです。
ある日のこと、学校から帰ってくた息子さんは、そのまま2階に行こうとしました。Sさんが声をかけても機嫌が悪く
「夕飯まで放っておいて」
と言います。
しばらくそのままにしておきました。その後、Sさんは心配になり、2階に様子を見に行き声をかけてみました。
母 「大丈夫?具合悪い?」
息子 「当たり前やん、あんなテスト見たら具合悪くなる!」
母 「テストが返って来て、思ったより悪かったから、がっかりしたんだ。」
息子 「数学Aは良いけど、数学Bがズタズタ」
母 「点数が悪かったから心配なんだ」
息子 「ちゃんと公文式覚えてたのに、解けんかった。因数分解も出来んと理系の大学なんか行けへんし」
母 「理系の大学行きたかったら、因数分解が解ける様になりたいんだね」
息子 「だって、このままやったら、高校上がれんよ。塾、探して!!1対1でわからんところを教えてくれて、自習室があるところ、見つけてよ」
母 「そんなところだったら、勉強できると思うのね。」
息子 「家で一人では結局集中できんから、自習室行って質問できるところがいい」
母 「わかった」
この会話のすぐ後で、Sさんは息子さんと2,3か所の塾を見学したそうです。そして本人の希望に合った塾に通うことになりました。
その後、息子さんは塾に通い始めた息子は、テストが近づくと、自分から自習室に行き勉強しているそうです。
意欲的になった息子さんに、Sさんもとても喜ばれています。
こころの整理をすることで、言わないことが選べた
この時、Sさんは、実は本当は彼に言いたいことがあったそうです。
でも、言わないことにしました。言わないことを選んだのです。
いつもなら言っていたことを言わなかった。すると、いつもとは違う話の展開になりました。Sさんの「聞き方」が変わったら、息子さんの心が癒されて、冷静になり、そして行動レベルまで見直すことにつながりました。
何故それが出来たのでしょうか?
親業には、親が自分の今の状況にあわせて「どうしたら効果的に関われるのか」を明確に示す「行動の四角形」と言うツールがあるので、それを使ったのです。
状況を見極めて気持ちの整理をすると、Sさんの心が決まりました。
そして、息子さんを助ける聞き方に全力で集中できたのだと思います。
明確な方向性を持てたことで、ブレなかったのですね。
子育ては頭でどれだけわかっていても、心がついていけなくて揺れたりざわついたりすることばかりです。
Sさんも、内心ではザワザワ、ドキドキ、ムズムズしていたそうです。でも、ブレずに気持ちを強く持ちながら、本当に望んでいる「子どもの心のサポート」に徹することができましたよ。
こうやって、すこしずつ、親も成長していけるのです。
2、ブレない軸を支える「あり方」「心構え」「訓練」
親として効果的に関われた2つの理由
これはもう、ハッキリ言って「場数」の問題でもあると思います。たとえば、私は子どもが3人いるけれど、長男を育てた時と、三男を育てた時では、親としての経験値が違いました。
もともと、こういう聞き方が自然にできる人もいるかもしれません。
でも90%の親は違う言い方をしていると思います。例えば「アドバイス」などをされる方も多いと思います。でもね、実際にはアドバイスは役に立たないことも多いのです(-_-;)
ここで紹介した聞き方は、講座で学ぶ特別な聞き方。
心理カウンセラーがクライエントの方の心を深く癒すときに使う聞き方を、お家でできるようになると最強です(笑)
何もしないって実は一番ムズカシイ
試練や困難を成長の糧にできる親子関係をつくろう
中学生時代は、子どもがそれまでの親の庇護のもとで暮らした日常から、自分の所属する社会や立場を意識する、大人への大切な移行期です。
それは、子どもの「踏ん張り時」であるとともに、親としての「踏ん張り時」です。なぜなら、子どもの心の成長とは、自分の人生で起こる様々な試練・問題・事件など、さまざまな経験をしている時に「周りの大人にどう扱われたか?」によって、大きく左右されるから。
「試練」や「困難」を成長の糧に変えて、子ども自身が試練を乗り越える心の体力を育てるため、まずは私たち親のとらえ方やかかわり方、つまり、親子関係の質を変えていきたいのです。
「困難」こそ、実は子どもの成長のチャンス!
毎日の、ちょっとした「困難」を経験して、心が成長していく様子がわかるようになると、日常が変わります。
自分の頑張り次第で、子どもとの毎日がキラキラ、キュンキュンと今までとは違って見えてくるようになると、親としての自信がついて、毎日が今よりもっと楽しくなっていきます。